【7月に流れる花】【8月は冷たい城】どきりとする児童ミステリー

恩田陸さんの最近の著作で、珍しくヤングアダルトのジャンルのもの。

とはいえそこに流れる恩田ワールドは共通。とてもおもしろいです。

独自の世界観と設定、どきっとする人物同士の会話、無益でさみしい堂々巡り。

 

7月に流れる花  / 8月は冷たい城  /恩田陸 /講談社

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同じ世界、同じタイミングで違う視点から描いた対の2作。

「冷静と情熱の間」みたいな書かれ方です。男女というのも同じ。

 

夏流城(かなしろ)という土地で行われる林間学校。

みどりおとこという、全身緑色の謎の人物に翻弄される、

二人の主人公、ミチル(7月)と光彦(8月)。

林間学校の正体は、目的は。みどりおとこは何を企んでいるのか。何者なのか。

一緒に寝起きしている周りの子供たちだって、何を考えているのか。

 

とにかくぞわぞわ不安になるような謎が多く、また設定も特異なのですが

児童向けというだけあってボリュームも少なめで読みやすいので、

複雑すぎるミステリーのようなストレスはないです。

とはいえ、このボリュームでこの密度!という濃い作品です。

 

7月の、ひやっとするような、少女同士の友情とも呼べない6人のつながり。

ミチルや蘇芳が抱える葛藤、他の子たちの外面と内面のギャップ。

8月の、少女同士よりも少し距離が近い、だけどだからこそすぐ離れる、

キャラクターの異なる少年同士の小競り合いと騙し合い。

設定によるところが大きいストーリーの本流ももちろん良いのですが

登場人物同士のこうした描き方にとても引き込まれます。

 

【注】ネタバレなので反転して読んでください

緑色感冒というのもまず突飛だけど、それがそこまで浮いてなく

物語にスッと溶け込んでいるのがすごい。物語自体がちょっと異世界だからかも。

ただ8月の最後の、みどりおとこの継承の話は

生々しすぎてリアリティがないのと、継承してるから何?という気がしました。

幸正の嘘も動機がふわっとしていてちゃんと着地できていないような。。。

お母さんかもしれないみどりおとこに遭遇する前までがハイライトだったかなと。

それまでの漠然とした不安やザ・ミステリという感じの謎はとても楽しめました。

 

—-ここまでネタバレ

私としては酒井駒子さんが作画なのでなお良いです。

少年少女の不安定な感じをとてもリアルに、魅力的にえがいていてとても素敵。

私はたまたま8月から読んだのですが、絶対!!7月から読んだほうがいいです。

8月読んだあとの7月はものたりないです。

 

恩田陸作品はどれも良いし、それぞれ違った良さがあります。

少し前に読んだ『私と踊って』も良いです。過去記事ご覧ください。

【私と踊って】世界観が短いストーリーの中に凝縮。ジャンルを特定できない幅広さ。

新作は直木賞と本屋大賞をダブル受賞、まだまだ楽しませてもらえそうです。

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